商品コード: ISBN4-7603-0176-3 C3321 \50000E

江戸後期・諸国産物帳集成・第9巻 [大和・紀伊 (1)]

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50,000円    (税込:55,000円)
第9巻 大和・紀伊 (1)
〈2000/平成12年10月刊行〉

◎畔田伴存『吉野軍中産物記』
◎畔田伴存『熊野物産初志(上)』
◎『紀産禽類尋問志』
◎『紀産獣類尋問志』
◎『紀伊土産考獣部』
◎丹波修治『紀伊国産物雑記』


9巻の内容・序に代えて

本巻は、大和国と紀伊国の本草資料を採録した。紀伊は前巻に引き続きでり、さらに次巻も同国を予定している。紀伊には優れた本草学者が多く、著書も他国に比べてきわだって多いので、これでも、割愛するに忍びないものが多々あった。他の復刻の機会を願うものである。


一、(和州)吉野郡中物産志   畔田 伴存(翠山)著(一八四七年) 
国立国会図書館、白井文庫 特一・五四三
本書は、伴存が約二十年を費やして調査した大和国大峰山系の地誌「和州吉野郡群山記」全八巻の内の巻七と巻八である。草類二九○種(内薬草八○)、木類一二○種、その他植物二三種、動物六二種について、その各々に産地、産状、生態、形状などを記載した。一部には絵図を付した。上野益三博士も「フロラ、フォナとして、この地方はもとより日本全国においてもかつて見なかった形式の記述」であると、高く評価された。原文書は、天理図書館と甲南女子大学図書館に所蔵されているとのことであるが(上田穣博士による)、今回は白井光太郎博士旧蔵の写本を底本とした。
伴存(一七九二∫一八五九)は紀州徳川家の医師で優れた本草学者。調査した地域は紀州六郡をはじめ、高野山、大和国吉野郡、熊野および加賀国白山、越中国立山におよび、各すぐれた調査結果をものした。

二、熊野物産初志   畔田 伴存著(推定一八四八年) 
国立国会図書館、伊藤文庫 特七・一○八
「野山草木通志」「紀南六郡志」とともに、伴存の紀州三部作のひとつ。熊野地方は当時の牟婁郡、現在の和歌山県東西両牟婁郡と田辺新宮両市、および三重県南北両牟婁郡と熊野尾鷲両市の広い範囲であり、真砂久哉氏によれば伴存の調査地点はこの地域内約二百地点に達するという。
巻一は草類三七二種、穀類二一種、菜類二一種、海藻類二四種、菌類二五種、巻二は木類一七九種、果類一七種、竹類八種、巻三は魚類一七二種、巻四は亀蟹類等二一種、貝類一七六種、巻五は虫類等九二種、鳥類八◯種、獣類二二種、金石四九種、合計一二七九種の多数に及ぶ。各その生育地点、生態、形状、変種などについて詳細に記述する。
今回は、一八七二年に丹波修治が写した同氏旧蔵本を底本とした。原書はもと伴存の友人堀田龍之助蔵であったが、一九七◯年代に堀田家から大阪市立博物館に寄贈された。
なお、本書は一九八◯年に故真砂久哉氏の編集で、紀南文化財研究会から復刻刊行されたことを申し添える。

三、紀産禽類尋問志、同獣類尋問志、紀伊土産考獣部
国立公文書館、内閣文庫、一九七・一六六
この三文書は、小原良直が紀州の産物に関する諸文書を編集した「紀伊産物考」全九冊の内の第八冊に所収の分である。
尋問志の二文書はともに年記を欠き、また尋問者も不明であるが、鳥類は鷹匠から、獣類は山田八九郎からの答えとある。領内の鳥獣の生態とくに鳥類では渡り、営巣について詳しい。
「紀伊土産考獣部」は「紀伊国続風土記」の内の「獣部」の記述を基に、その他の古記録を加筆したものである。(本集成、第八 巻八七九頁以下参照)

四、紀伊国産物雑記  丹波 修治稿
国立国会図書館、伊藤文庫 特七・八四
「高野山草記志」と「金石標本目録」からなる。
「高野山草記志」は草の部四一三種、穀菜の部四◯種、茸の部二五種、木の部一三六種、果の部一七種、竹の部八種、虫の部六四種、魚の部二四種、鳥の部三一種、獣の部二◯種、水火金石の部二二種、合計八◯◯種を記載して、その多くに和名を付記した。
「金石標本目録」は、一八七二年に和歌山で展示された岩橋秀庵所蔵の標本約七百点のリストである。

以上、貴重な古文書の復刻刊行を快くご承認くださった国立国会図書館ならびに国立公文書館に、厚くお礼申し上げます。また、難解の文字の解読についてご教示いただいた立教大学文学部の浅見恵先生に対しまして深く感謝の意を表します。

二◯◯◯年秋分
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