商品コード: ISBN4-7603-0179-8 C3321 \50000E

江戸後期・諸国産物帳集成・第12巻 [安芸・備後・周防]

販売価格:
50,000円    (税込:55,000円)
第12巻 安藝・備後・周防
〈2002/平成14年3月刊行〉

◎『廣島領文化文政度國郡志下調帳(藝備・村別土産部)』、
◎『周防國風土記[風土注進案(土産部・上)]』



12巻の内容 …… 序に代えて

 浅野家広島領の備後・安芸両国と隣国毛利家萩領の周防・長門両国には、江戸後期に村毎に村内の諸般に亘り詳細な報告が残っている。そのうちから、「産物」(農作物、植物、動物など)の部分を摘録した。

一、広島領(備後・安芸両国)『文化文政度国郡志下調帳』より村毎の産物
既刊の郡市町村史(後記)による。
 広島領内の生物の調査事例としては、①一六三三年に黒川道祐が著した『芸備国郡志』、②一七三五年の『産物帳』、および③一八二五年頼杏坪の監修で編纂された『芸藩通史』の三例がある。
 ①の『芸備国郡志*』は、同じ黒川道祐編の『雍州府誌』、貝原篤信の筑前国の『筑前続風土記』とならぶ我が国で最も早い時期の地誌の一つであり、産物のことにもかなりの頁を割いている。
 ②の『産物帳』は丹羽正伯の企画で全国一斉になされた調査で、広島領では本帳は失なわれ絵図『芸藩土産図**』が残っている。この時の村の調査記録としては『賀茂郡下市村産物目録***』 一例が残存している。
 ③の『芸藩通史****』は、一八○四年領主浅野斉賢が頼杏坪に『芸備国郡志』の改修を命じたことにより始まり、郡町村に国郡志御用掛が設けられ、一定の様式により「下調べ帳」が作成され、一八一九年までにはほとんどの村から藩府へ提出された。これに基づいて一八二五年『芸藩通史』が編纂された。提出された「下調べ帳」は今日残っていないが、かなりの数の市町村にその控え文書が残っている。今回は市町村誌などに収録されている「下調べ帳」から「産物」(農作物、植物・動物・金石)の部分を摘出して紹介した。当時の農作物、植物、動物の詳細を窺うことができる。
 例えば、今日日本列島から姿を消したオオカミやカワウソが領内各地に見られるし、その時より約百年前に同地に導入さたトキの名も散見される。
 *『芸備国郡志』;『江戸後期諸国産物帳集成』XI巻、六五七頁参照。
 **『芸藩土産図』;『享保元文諸国産物帳集成』VIII巻、一頁参照。
 ***『賀茂郡下市村産物目録』;『享保元文諸国産物帳集成』XIII巻、四○七頁参照。
 ****『芸藩通史』;『江戸後期諸国産物帳集成』XI巻、四九九頁参照。

今回引用した市町村史など。
一、刊本
安芸郡
 中山村史、新修廣島市史、海田町史、船越町史、
佐伯郡
 廿日市町史、佐伯町誌、五日市町誌、大竹市史、吉和村誌
賀茂郡
 西条町誌、竹原市史
沼田郡
 安佐町史
豊田郡
 三原市史、大崎町史、竹原市史
高田郡
 高田郡史、
山県郡
 中野村史、千代田町史、加計町史
御調郡
 三原市史、新修尾道市史、御調町史
三谿郡
 三良坂町誌、吉舎町史
三次郡
 君田村櫃田誌
甲奴郡
 惣領町誌、甲奴町誌
二、写本
何れも三原市立図書館蔵筆写資料
豊田郡
 南方村「国郡志御用に付下調帳」
 乃美村「国郡志」
 明石方村「国郡志御編集下弾書出帳控」
御調郡
 下津村「国郡志御用に付下しらへ帳」
 木原村「国郡志御用に付下しらへ書出帳」

 以上の外に、今回紹介できなかった資料が多数あると存じます。できれば、次の機会に追加して紹介したいと考えています。

 以上の資料の復刻をご承引くださった下記の各位にお礼もうしあげます。
 広島市公文書館、海田町史編集委員会、廿日市町史編集委員会、佐伯町誌編集委員会、大竹市史編集委員会、吉和村史編集委員会、西条町誌編集委員会、竹原市史編集委員会、三原市史編纂室、三原市教育委員会、尾道市史編集委員会、大崎町史編集委員会、高田郡史編集委員会、西条町誌編集委員会、千代田町史編集委員会、加計町史編集委員会、三良坂町誌編集委員会、吉舎町史編集委員会、君田村教育委員会、甲奴町誌編集委員会、総領町誌編纂委員会

 資料の閲覧・複写について、ご便宜をお計りくださった下記の各位に感謝もうしあげます。
 国立国会図書館、広島県立文書館、広島市公文書館、広島市中央立図書館、三原市立図書館

 最後になりましたが、資料の探索収集にあたりましては、山階鳥類研究所理事長の淺野長愛先生に格別のご援助をいただきましたことを記してお礼申し上げます。 また、広島市立図書館の元奉仕課長井野博允氏、広島県立文書館の数野文明氏、広島市公文書館の合原和晴氏、三原市立図書館の中本智子氏にもご協力いただきました。ありがとうございました。


二、『周防国風土記』(風土注進案)(上)
国立公文著館、内閣文庫蔵 一七五・一九二
本文書は前掲廣島領の『芸藩通史』に少し遅れて、一八四一年萩領(周防・長門)の地誌『国郡誌』の編纂が企途され、その基礎資料として「地理産業仕出」という名目で領内の全村毎に「村明細」の調査がされ、一八四一年前後には宰判毎にまとめられて『風土注進案』と題されて藩府に納められた。その後、村毎の『風土注進案』に基づいて『国郡誌』が編纂された形跡は見られず、『注進案』のまま今日に至っている。今回はそれらの記述の内「産物」(農作物、植物、動物)の部分を摘録した。
原本の本来の文書名は上記の通り『風土注進案』であるが、今回底本とした国立公文書館内閣文庫蔵の写本の仮題は『周防国風土記』『長門国風土記』となっているので、ここではそれに従った。
編序は以下の通りである。
 周防国風土記
  大島郡宰判周防国大島風土記
  山口宰判周防国吉敷郡風土記
 都濃郡宰判周防国都濃郡熊毛郡郡風土記
 上関宰判周防国熊毛郡郡大島郡風土記
 三田尻宰判周防国佐波郡風土記
 小郡宰判周防国吉敷郡風土記
 山代宰判(一)周防国玖珂郡都濃郡前山代郡風土記
 山代宰判(二)周防国玖珂郡奥山代郡風土記
 徳地宰判周防国佐波郡風土記
 熊毛宰判周防国玖珂郡熊毛郡風土記
 長門国風土記
 奥阿部郡宰判長門国阿武郡風土記
 美禰郡宰判長門国美禰郡風土記
 船木宰判長門国厚狭郡風土記
 吉田宰判長門国厚狭郡風土記
 先大津宰判長門国大津郡豊浦郡風土記
 前大津宰判長門国大津郡風土記
 当嶋宰判長門国阿武郡風土記
 以上一六宰判 のうち大島郡と都濃郡 の二宰判 の分を本XII巻に納め、残りの一四宰判 の分は次のXIII巻に納めます。なお、索引はXIII巻に一六宰判分を一括して載せます。

 貴重な本文書の撮影、復刻をご承諾くださった国立公文書館に感謝申し上げます。
編者識 
二○○二年立春
  • 数量:

AMAZONでもお買い求めいただけます

この商品に対するお客様の声

この商品に対するご感想をぜひお寄せください。