商品コード: ISBN4-7603-0240-9 C3321 \50000E

第11巻 民間治療(12)

販売価格:
50,000円    (税込:55,000円)
第11巻 民間治療(12)
Volume 11 Folk Cure(12)

(2002/平成14年3月刊行)

◎妙薬奇覧(船越 君明 著)
◎妙薬奇覧拾遺(宮地 明義 著)
◎妙薬妙術集(吉田 威徳 著)
◎類編廣益衆方規矩備考大成(千村 眞之 著)

(I)船越 敬祐[船越 晉]『妙藥奇覽(みょうやくきらん)』[京都大学附属図書館富士川文庫所蔵、ミ・三五]
(一)書誌
 本集成では京都大学附属図書館富士川文庫所蔵本(大坂書林/心斎橋北久宝寺町・河内屋源七郎/心斎橋南久宝寺町・伊丹屋善兵衞)を使用した。一巻一冊である。最後の丁に、嘉永五(一八五二)年壬(子)六月求版と明記されている。序文は文政十(一八二七)年丁亥の記載がある。『国書総目録』『古典籍総合目録』(岩波書店)によれば、この資料は、本書で使用したもの以外は、以下の諸機関に所蔵されている。編者が未見の資料も多く、ここでは、これらの資料を列挙した。
(二)所蔵されている資料一覧
(あ)国立国会図書館白井文庫[一巻一冊、特一・二六六五、四十四丁、文政十年   序文]
(い)国立国会図書館白井文庫[一巻一冊、特一・二九三○、四十四丁、嘉永元年]
(う)京都大学附属図書館富士川文庫[一巻一冊、ミ一六、文政十年序文]
(え)京都大学附属図書館富士川文庫[一巻一冊、ミ三六・三七、嘉永五年]
(お)刈谷市立図書館[文政十年]
(か)杏雨書屋乾々齋文庫[一帙二冊、乾二○三五、文政十年序文、『妙藥奇覽後   編』と合冊]
(き)東北大学図書館狩野文庫[嘉永五年]
(く)無窮会神習文庫[『妙藥奇覽後編』と合冊]
(け)愛知県新城市新城図書館[文政十年]
(こ)玉川大学図書館[文政十年序、嘉永五年刊行]
(さ)玉川大学図書館[年記不明]
(三)著者の生涯の記録
 著者の船越敬祐[船越晉]は、伯耆国米子の人で、黴毒の専門家として著名で、水銀薫剤を用いて治療することを奨励した。黴毒治療関係の書籍として『黴毒茶談』(天保十四[一八四三]年刊行)、『黴毒軍談』(天保九[一八三八]年刊行)、『黴毒方選』などを記している。
(四)本書の内容構成
 百四十三項目の病気名及び処方名についての解説書である。この書は、医療施設もあまりなく医者の少ない僻地の住民の健康生活を配慮して書かれた啓蒙書に属する資料であろう。専門的にならずに、住民がかかりやすい病気の治療方法を懇切丁寧に解説しているところに大きな特色があろう。
(II)宮地 惠[宮地 明義]『妙藥奇覽拾遺(みょうやくきらんしゅうい)』[京都大学附属図書館富士川文庫所蔵、ミ・三九]
(一)書誌
 本集成では京都大学附属図書館富士川文庫所蔵本を使用した。一巻一冊である。序文に嘉永四(一八五一)年辛亥夏の記載がある。『国書総目録』『古典籍総合目録』(岩波書店)によれば、この資料は、本書で使用したもの以外は、以下の諸機関に所蔵されている。表題が『妙藥奇覽拾遺(みょうやくきらんしゅうい)』としてではなく、『妙藥奇覽後編(みょうやくきらこうへん)』と記載されている。おそらく、本書の製作の過程を考慮すると、これらの二書は同一の内容と推測される。編者が未見の資料も多いが、ここでは、『妙藥奇覽後編(みょうやくきらこうへん)』についての調査した事項を列挙した。
(二)所蔵されている資料一覧
(あ)京都大学附属図書館富士川文庫[一巻一冊、ミ三八、嘉永四年序文]
(い)刈谷市立図書館
(う)杏雨書屋乾々齋文庫[一帙二冊、乾二○三五、文政十年序文、『妙藥奇覽』   と合冊]
(え)無窮会神習文庫[『妙藥奇覽』と合冊]
(お)太宰府天満宮[嘉永四年序、嘉永五年刊行]
(三)著者の生涯の記録
 著者の宮地惠[宮地明義]は、大坂の人である。
(四)本書の内容構成
 百四十二項目の病気名及び処方名についての解説書で、本篇にあたる『妙藥奇覽』よりも一項目少ない。この書も、『妙藥奇覽』と同様に、医療施設もあまりなく医者の少ない僻地の住民の健康生活を配慮して書かれた啓蒙書に属する資料である。専門的にならずに、住民がかかりやすい病気の治療方法を懇切丁寧に解説しているところに大きな特色がある。『妙藥奇覽』が書かれてから約二十年後に著されている。「この『妙藥奇覽』に大きな影響を受け、これに漏れた内容を改めて記述した」と、序文にも記しているところから考えて、『妙藥奇覽』の改訂・増補版といった体裁をとっていることが大きな特色と言えよう。
(III)千村 眞之[千村 拙庵]『類編廣益衆方規矩備考大成』[国立公文書館内閣文庫所蔵、医一九五-二○]
(一)書誌
 本集成では国立公文書館内閣文庫所蔵本(武城書林/須原茂兵衞/萬屋清兵衞/近江屋三左衞門)を使用した。十巻十冊である。元禄十(一六九七)年丁丑刊行の記載がある。『国書総目録』『古典籍総合目録』(岩波書店)によれば、この資料は、本書で使用したもの以外は、以下の諸機関に所蔵されている。編者が未見の資料も多く、ここでは、これらの資料を列挙した。
(二)所蔵されている資料一覧
(あ)国立国会図書館[十巻十冊]
(い)東北大学図書館狩野文庫[十巻十冊]
(う)杏雨書屋乾々齋文庫[一帙二冊、乾一八七四、元禄十年刊行]
(三)著者の生涯の記録
 生没年未詳。拙庵の他に杏圃の号をもつ。他に『小児養生録』(元禄元年)を著している。江戸の人で、漢学に通じていた。
(四)本書の内容構成
 中国の古典的な医学書『衆方規矩』の解説書である。原本を理解できない一般の人々のために、病気別に必要な処方(漢方薬)について論じた啓蒙的な資料である。まず脈診と脈について論じ、病気を中風、傷寒、中寒、内傷、泄瀉、痢病、瘧疾、諸氣、痰、咳嗽、喘急、嘔吐、翻胃、虚損、血症、積聚、水腫、疝氣、黄疸、汗症、眩暈、消渇、淋症、溺濁、頭痛、心痛、脇痛、脚氣、痛風、眼目病、耳病、鼻病、咽喉病、痔病、癲癇、婦人病、虚労、泄痢、疳疾、産前産後の病、感冒、食傷、痘、麻疹、結核、破傷風、折傷、廱疽、便毒、癩風、金瘡、中毒などに細かく分類して、こららの罹病に対応する処方約八百項目以上につき、詳細に解説を加えている。これらの処方を構成する植物、動物、鉱物の記載も懇切丁寧で、必要な分量まで指示している。また、医者としての千村眞之[千村拙庵]の豊富な治療体験と漢方医学に関する該博な知識が垣間見られる良書と言えよう。さらに、新たに作成された病気名索引及び処方名索引の両方を活用することによって、漢方医学の研究及び診断のための一助となると信ずるものである。
  • 数量:

解 説

(I)船越 敬祐[船越 晉]『妙藥奇覽(みょうやくきらん)』[京都大学附属図書館富士川文庫所蔵、ミ・三五]
(一)書誌
 本集成では京都大学附属図書館富士川文庫所蔵本(大坂書林/心斎橋北久宝寺町・河内屋源七郎/心斎橋南久宝寺町・伊丹屋善兵衞)を使用した。一巻一冊である。最後の丁に、嘉永五(一八五二)年壬(子)六月求版と明記されている。序文は文政十(一八二七)年丁亥の記載がある。『国書総目録』『古典籍総合目録』(岩波書店)によれば、この資料は、本書で使用したもの以外は、以下の諸機関に所蔵されている。編者が未見の資料も多く、ここでは、これらの資料を列挙した。
(二)所蔵されている資料一覧
(あ)国立国会図書館白井文庫[一巻一冊、特一・二六六五、四十四丁、文政十年   序文]
(い)国立国会図書館白井文庫[一巻一冊、特一・二九三○、四十四丁、嘉永元年]
(う)京都大学附属図書館富士川文庫[一巻一冊、ミ一六、文政十年序文]
(え)京都大学附属図書館富士川文庫[一巻一冊、ミ三六・三七、嘉永五年]
(お)刈谷市立図書館[文政十年]
(か)杏雨書屋乾々齋文庫[一帙二冊、乾二○三五、文政十年序文、『妙藥奇覽後   編』と合冊]
(き)東北大学図書館狩野文庫[嘉永五年]
(く)無窮会神習文庫[『妙藥奇覽後編』と合冊]
(け)愛知県新城市新城図書館[文政十年]
(こ)玉川大学図書館[文政十年序、嘉永五年刊行]
(さ)玉川大学図書館[年記不明]
(三)著者の生涯の記録
 著者の船越敬祐[船越晉]は、伯耆国米子の人で、黴毒の専門家として著名で、水銀薫剤を用いて治療することを奨励した。黴毒治療関係の書籍として『黴毒茶談』(天保十四[一八四三]年刊行)、『黴毒軍談』(天保九[一八三八]年刊行)、『黴毒方選』などを記している。
(四)本書の内容構成
 百四十三項目の病気名及び処方名についての解説書である。この書は、医療施設もあまりなく医者の少ない僻地の住民の健康生活を配慮して書かれた啓蒙書に属する資料であろう。専門的にならずに、住民がかかりやすい病気の治療方法を懇切丁寧に解説しているところに大きな特色があろう。
(II)宮地 惠[宮地 明義]『妙藥奇覽拾遺(みょうやくきらんしゅうい)』[京都大学附属図書館富士川文庫所蔵、ミ・三九]
(一)書誌
 本集成では京都大学附属図書館富士川文庫所蔵本を使用した。一巻一冊である。序文に嘉永四(一八五一)年辛亥夏の記載がある。『国書総目録』『古典籍総合目録』(岩波書店)によれば、この資料は、本書で使用したもの以外は、以下の諸機関に所蔵されている。表題が『妙藥奇覽拾遺(みょうやくきらんしゅうい)』としてではなく、『妙藥奇覽後編(みょうやくきらこうへん)』と記載されている。おそらく、本書の製作の過程を考慮すると、これらの二書は同一の内容と推測される。編者が未見の資料も多いが、ここでは、『妙藥奇覽後編(みょうやくきらこうへん)』についての調査した事項を列挙した。
(二)所蔵されている資料一覧
(あ)京都大学附属図書館富士川文庫[一巻一冊、ミ三八、嘉永四年序文]
(い)刈谷市立図書館
(う)杏雨書屋乾々齋文庫[一帙二冊、乾二○三五、文政十年序文、『妙藥奇覽』   と合冊]
(え)無窮会神習文庫[『妙藥奇覽』と合冊]
(お)太宰府天満宮[嘉永四年序、嘉永五年刊行]
(三)著者の生涯の記録
 著者の宮地惠[宮地明義]は、大坂の人である。
(四)本書の内容構成
 百四十二項目の病気名及び処方名についての解説書で、本篇にあたる『妙藥奇覽』よりも一項目少ない。この書も、『妙藥奇覽』と同様に、医療施設もあまりなく医者の少ない僻地の住民の健康生活を配慮して書かれた啓蒙書に属する資料である。専門的にならずに、住民がかかりやすい病気の治療方法を懇切丁寧に解説しているところに大きな特色がある。『妙藥奇覽』が書かれてから約二十年後に著されている。「この『妙藥奇覽』に大きな影響を受け、これに漏れた内容を改めて記述した」と、序文にも記しているところから考えて、『妙藥奇覽』の改訂・増補版といった体裁をとっていることが大きな特色と言えよう。
(III)千村 眞之[千村 拙庵]『類編廣益衆方規矩備考大成』[国立公文書館内閣文庫所蔵、医一九五-二○]
(一)書誌
 本集成では国立公文書館内閣文庫所蔵本(武城書林/須原茂兵衞/萬屋清兵衞/近江屋三左衞門)を使用した。十巻十冊である。元禄十(一六九七)年丁丑刊行の記載がある。『国書総目録』『古典籍総合目録』(岩波書店)によれば、この資料は、本書で使用したもの以外は、以下の諸機関に所蔵されている。編者が未見の資料も多く、ここでは、これらの資料を列挙した。
(二)所蔵されている資料一覧
(あ)国立国会図書館[十巻十冊]
(い)東北大学図書館狩野文庫[十巻十冊]
(う)杏雨書屋乾々齋文庫[一帙二冊、乾一八七四、元禄十年刊行]
(三)著者の生涯の記録
 生没年未詳。拙庵の他に杏圃の号をもつ。他に『小児養生録』(元禄元年)を著している。江戸の人で、漢学に通じていた。
(四)本書の内容構成
 中国の古典的な医学書『衆方規矩』の解説書である。原本を理解できない一般の人々のために、病気別に必要な処方(漢方薬)について論じた啓蒙的な資料である。まず脈診と脈について論じ、病気を中風、傷寒、中寒、内傷、泄瀉、痢病、瘧疾、諸氣、痰、咳嗽、喘急、嘔吐、翻胃、虚損、血症、積聚、水腫、疝氣、黄疸、汗症、眩暈、消渇、淋症、溺濁、頭痛、心痛、脇痛、脚氣、痛風、眼目病、耳病、鼻病、咽喉病、痔病、癲癇、婦人病、虚労、泄痢、疳疾、産前産後の病、感冒、食傷、痘、麻疹、結核、破傷風、折傷、廱疽、便毒、癩風、金瘡、中毒などに細かく分類して、こららの罹病に対応する処方約八百項目以上につき、詳細に解説を加えている。これらの処方を構成する植物、動物、鉱物の記載も懇切丁寧で、必要な分量まで指示している。また、医者としての千村眞之[千村拙庵]の豊富な治療体験と漢方医学に関する該博な知識が垣間見られる良書と言えよう。さらに、新たに作成された病気名索引及び処方名索引の両方を活用することによって、漢方医学の研究及び診断のための一助となると信ずるものである。

この商品に対するお客様の声

この商品に対するご感想をぜひお寄せください。