商品コード: ISBN4-7603-0208-5 C3321 \50000E

第11巻 日本科学技術古典籍資料/天文学篇[4]

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第11巻 日本科学技術古典籍資料/天文學篇[4]
Volume XI The Collected Historical Materials on Japanese Science and Technology: The History of Japanese Astronomy (4)

(2001/平成13年4月刊行)
[第11回配本]

●第一部 資料篇

(15)渋川春海 撰『天文瓊統』(15巻15冊、国立公文書館所蔵、寛文10[1670]年成立、特3甲-9)。
 清の順治2(1645)年に、黄玉耳(黄鼎)の記した『天文大成管窺輯要』を典拠として執筆したと流布されているが、内容的には、渋川春海の長年に渡る天文・暦研究の集大成版とも言える作品である。

(16)渋川佑賢 解・輯『[校正]天経或問國字解』(18巻18冊、国立公文書館所蔵、嘉永6[1853]年序、特7-10)
 明時代の末期もしくは清時代の初期に、游子六(游藝)によって書かれた天文学書を日本語に翻訳し、渋川佑賢の天文学的な知見を加えて刊行した作品である。太陽や月の運行、月食、日食、恒星の運動など、天体に関する基本的な事柄を論じた「[校正]天経或問國字解」(巻首から巻十までの11冊)、「[校正]天経或問國字解附録」(巻一から巻六までの6冊)、「[校正]天経或問國字解圖譜」(1冊)の合計18巻18冊で構成されている。
 17-18世紀に、キリスト教の宣教師たちがもたらした西洋の天文学の知識に加えて、中国上古時代からの天体説や暦理を参考にして書かれた『天経或問』の精髄を、渋川佑賢が結晶化した作品と言えよう。中国の上古時代からの著名な星学者や西洋の天文学者を、時代別に列挙している。さらに、『崇禎暦書』や『暦象考成』に記載されている著名な天文学者の名称も散見でき、中国、西洋、日本の天文学の歴史を相対的に把握できる貴重な資料である。この『天経或問』は享保時代以前に舶載され、日本の天文学の研究に益するところがおおきな資料であった。

(17)渋川景佑 編撰『[新修]彗星法』(上編6巻下編7巻合計13巻13冊、国立公文書館所蔵、特5-3)
 この書によれば、「ガス体もしくは固体粒子で構成されていて、細長い楕円軌道を描く彗星、別名ほうきぼしの観測が行われるようになったのは、寶暦年間(1751-1763)に、渋川光洪とその部下たちによる経度と緯度の測定が最初で、以後、間重富、足立信頭などによって、科学的な観測が実行されるようになった」と書かれている。彗星の起源、古代からの観測の歴史、軌道、経度・緯度の算出方法、通用表、諸應表などを記載されていて、初学者にも理解できるような叙述の様式で書かれている。日本における彗星研究の嚆矢とも言える貴重な著作物である。

(18)西川忠英(西川如見) 輯『兩儀集説』(9巻9冊、国立公文書館所蔵、正徳4[1714]年11月序、194-55)
 序文・目録巻、巻之一から巻之七、「兩儀集説外記・天文義論 全 上下」の構成で、9巻9冊となっている。目次に「巻之八」として「諸目圖式」の項目があり、「元の原稿では64個の圖版篇が独立して1冊と成っていたが、この稿においては、各巻に分けて掲載されているので、巻之八は存在しない」と書かれている。兩儀つまり天と地の事象についての、西川如見による、哲学的な論攷である。天体、地体、黄道、赤道、日食、月食、地震、雷鳴、潮汐など、地球上と天体上で発生する現象について、豊富な圖版を用いて懇切丁寧に解説した労作である。

(19)渋川春海 撰『日本書紀暦考』(1巻1冊、国立公文書館所蔵、137-91)
 『日本書紀』に記載されている干支、日食、月食の記事を研究した資料で、持統天皇11(文武天皇1)年、つまり、西暦紀元697年までが対象となっている。各月の大小、各月・各日の干支が網羅的に記載されている。附録として、「古今交蝕考」の1章が設けられていて、推古天皇36(628)年から貞享2(1685)年までの日食と月食の詳細なデータが、『宣明暦』と『貞享暦』から引用されて、報告されている。

(20)平田篤胤 撰述、穂井田忠友・川崎重恭・羽田野敬雄 校『春秋命歴序攷』(2巻2冊、天保4[1833]年刊行、国立公文書館所蔵、194-103)
 中国の古い文献を博捜して書かれた書である。紀元前770年から紀元前403年まで、約360年間に渡る春秋時代に製作された暦の研究書である。

(21)馬場信武 著『初學天文指南』[内題『初學天文指南鈔』](5巻5冊、国立公文書館所蔵、寶永3[1706]年刊行、194-63)
 天体観測機器、太陽や月の運動理論、日食、月食、二十八宿、星宿、温泉、野火などの事項について、これから天体観測を始めたり、天体学・地球学の基礎を学ぼうとする初学者のために書かれた入門書である。現代の学問の中では、地球物理学、天文学、気象学の考究を志す人々に対して、圖を使用して、懇切丁寧にかつ平易に書かれているのが、大きな特色と言えよう。版本で、書肆は、大坂梶木町の鳴井茂兵衞と記されている。著者の馬場信武は、京都在住の医師で、生年未詳で、正徳5(1715)年1月19日に逝去している。医師名を尾田玄古と称する。中国や日本の古典・易術・兵学の書に通じていた。

(22)伊能忠敬 著『[佛國]暦象編斥妄』(1巻1冊、国立公文書館所蔵、194-129)
 文化時代(1804-1818)の終わり頃に書かれたと言われている。天文学や暦学がインドに起こり、その地から西洋や東洋に伝播したとする「佛説天文学」、「須弥界説」に対する批判を試みた書である。圓通の推奨する「梵暦」の淵源が中国にあったことを論証し、その説がいかに現在の天体観測に適合しないかを実証的に論じている。釋圓通撰・釋智轂校『佛國暦象編』に対する反駁の書である。この原本は、高橋景保の旧蔵書である。
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