本絵図の特色
★本絵図は遠近道印の元図に菱川師宣の道中風俗絵と風景画が描かれた正確な街道図で、元禄三年(一六九〇)板木屋七郎兵衛が木版刷りで刊行した折本五帖の大作絵図で、この時期ではイギリスのブルタニアと共に世界最高峰の絵図である。
★方位・距離が正確であるばかりでなく、この時代の旅の様子、街道交通の有様が視覚的に理解できるし地理以外の情報も記載されてあり、時代を知る貴重な資料である。
★東海道沿いの城下町・宿場町の町並みや家並みの概況を把握でき、また名所・旧跡や一里塚(百三ヶ所)樹木の種類や本数も正確に描かれ植生や景観の資料にもなる。
★本絵図の最大の特色は、天和初年(一六八一)『東海道絵図』や文化三年(一八〇三)『東海道分間延絵図』にはない道中風俗の描写があること。それにより想像が豊かに広がり、見て楽しめる絵図・観賞用としても人気を博し、江戸時代の街道図ベストセラーとなった
★本絵図は絵画的にも木版技術の上でも描写・表現力に優れ美術資料としても高い評価の絵図である。
?この復刻により、年代の異なる三大絵図(東海道絵図・東海道分間絵図・東海道分間延絵図)の比較が容易になり、絵図の特色や表現方法・変遷やその他の新しい研究・発見・利用が期待できる。
?研究者や学校・公共図書館・博物館はじめ生涯学習・町興しなどの郷土資料として広くご利用下さい。
目次
発刊にあたり/解説
序・跋文―現代注釈
絵図集
『序』
巻の一 日本橋~小田原
巻の二 小田原~府中
巻の三 府中~吉田
巻の四 吉田~亀山
巻の五 亀山~京二条通
『跋文』