商品コード: ISBN978-4-7603-0396-0 C3321 \50000E

第4巻 日本科学技術古典籍資料/天文學篇[8]

販売価格:
50,000円    (税込:54,000円)
第4巻 日本科学技術古典籍資料/天文學篇[8]

授時暦正解、元史授時暦圖解、授時暦圖解発揮、授時暦経諺解、[重訂]古?便覧保存備考

 今回は、授時暦(じゅじれき)に関連する日本国内で研究された文献を取り上げた。授時暦とは中国の暦の一つで、元の郭守敬、王恂、許衡などによって編纂された太陰太陽暦である。太陰太陽暦とは、太陰暦を基本にしながらも、閏月を挿入して実際の季節とのずれを補正した暦である。太陰暦では十二ヶ月を一年とした場合、一年が三百五十四日となり、太陽暦の一年に比べて十一日ほど短くなる。このずれが三年で約一ヶ月月となるので、約三年に一回、余分な一ヶ月を、閏月として挿入して、?の日数の誤差を解消した。閏月を十九年に七回挿入すると、誤差がなく暦を運用できることが古くから知られていた。
 エジプト以外のユーラシア大陸のほとんどの地方における最も古い暦法は、太陰太陽暦である。世界で最も古くから太陰太陽暦を用いたのは、メソポタミア地方である。紀元前二千年頃にはすでに太陰太陽暦が採用されていた。この?法がユダヤ人に受け継がれて、現在のユダヤ暦に引き継がれている。イスラム教が広まってからは、太陰暦を用いるヒジュラ暦が用いられるようになり、西アジアで太陽太陰暦は用いられることはなくなっている。
 古代ギリシアでも、太陰太陽暦が用いられていたとされる。アテナイのアッティカ暦などに利用された。
 日本では飛鳥時代の元嘉暦の導入以来、中国の歴代の王朝が制定した暦をそのまま導入して、和暦として使用していた。八六二年に導入された宣明暦への改暦以後、八百年の長きにわたって、この暦が使用しつづけられていた。江戸時代の一六八五()年になって、この元王朝で考案された授時暦を基本とした、日本独自の太陰太陽暦としての「貞享暦」への改暦が実行された。以後、貞享暦(一六八五~一七五五)、宝暦暦(一七五五~一七九八)、寛政暦(一七九八~一八四四)、天保暦(一八四四~一八七二)の使用が続けられ、一八七三年にグレゴリオ暦が導入された。一八七三年より過去の歴史的事象の年については、一般に和暦年号による年と西暦(グレゴリオ暦)による年は対応しない。

(一)授時暦正解(狩7-20958-4)
 著者は幸田 親盈(こうだ ちかみつ)。元禄五(一六九二)年に生まれ、没年は宝暦八(一七五八)年。享年六十七歳。江戸時代に活躍した暦算家で幕府の役人であった。関流の中根元圭に師事した。この資料の正式な名称は「白山?解義」で、四巻四冊。 他に、東京大学にも架蔵されている。友之進と称し、子春と号する。八潮市中馬場村旗本幸田親盈は江戸期の数学者として名を残す。この他に、『八線表解義術意』(一巻)、『堆積年日法術及類法』(一巻)、『天文大成』(十一巻)などの算学書を著した

(二)元史授時暦圖解(狩7-31620-5)
 「本編(春、夏、秋、冬)」四巻、「附録」一巻の全五巻で構成されている。一七○三(元禄十六)年刊行。この「元史授時暦圖解」、「元史授時暦経圖解」「授時暦経圖解」は別名で、正式な表題は「授時暦圖解」。著者は小泉 光保(こいずみ みつやす)。東北大学附属圖書館には、小泉光保の著作が、この他に、次のような表題で架蔵されている。
「改正増補鼈頭長暦 」(寛延三年 / 二巻 一冊 / 狩-7.31661.1)
「享保三年改正[竹甫皿][竹艮皿]秘決伝」(享保三年跋 / 一冊 / 狩-8.21424.1)
「元史授時暦経図解」(元禄十六年 / 五冊 / 岡本刊-082)
「元史授時暦経図解」(元禄十六年 / 四巻 五冊 / 狩-7.20922.5)
「元史授時暦経図解」(元禄十六年 / 四巻 五冊 / 狩-7.31621.5)
「元史授時暦経図解」(元禄十年序 / 三巻 四冊 / 林文庫-0674)
「元史授時暦経図解」(元禄十六年 / 五冊 / 林文庫-0675)
「元史授時暦経図解」(元禄十六年 / 五冊 / 林文庫-0676)
「元史授時暦経図解」(元禄十六年 / 四冊 / 林文庫-0677)
「循環暦」(文政六年 / 五冊 / 岡本刊-104)
「循環暦」(享保2年 / 五巻 五冊 / 藤原集書-222)
「循環暦」(文政六年 / 五巻 五冊 / 狩-7.20962.5)
「循環暦」(文政六年補刻 / 五巻 五冊 / 旧教養-449.7)
「循環暦」(文政六年 / 五冊 / 林文庫-0734)
 また、この資料は、全国の十数箇所の圖書館に配架されている。

(三)授時暦圖解発揮(狩7-31642-4)
 「授時暦圖解発揮」は外題で、正式名称は「授時圖解発揮」。全体で百十一丁。著者は林 正延(はやし まさのぶ)。京都の人で、生没年は不詳。字は子長。中根元圭の門下。
 全体が首巻、上巻、下巻、附録の四巻で構成。[宝永四年三月、林正延子長自序(後序とあり。但し柱刻には巻首とあり)。宝永三年五月、林正延子長自序。巻首「京城林正延子長謹著」の文字あり。一七一四(正徳四)年八月、洛陽書肆 西川辰平(白山通銅駝坊)・新井弥兵衛(京極通五条上ル町)刊。巻末に天王寺屋市郎兵衛(京都寺町五条上ル町)の「水玉堂蔵板暦算書目」]の表記が見られる。
 漢字と仮名が混交した文章である。井口常範門の小泉光保が著した「授時暦圖解」を批判している。一説には中根元圭の著作との説があるが、未だ検証されていない。全国の十数箇所の圖書館で所蔵が確認されている。

(四)授時暦経諺解(狩7-31644-6)
 全体が七巻六冊で構成されている。宝永六(一七○九)年の自序があり、正徳元(一七一一)年に公刊されている。著者は亀谷 和竹(かめたに わちく)。和竹は号で、正式名は和之、通称は藤七、小兵衛生年は寛文元(一六六一)年。享保十九(一七三四)年九月七日に没。享年七十四歳。周防国徳山藩士で、毛利元次公に仕え、数理に精通し、徳山侍町割計画などに携わった。この資料の公刊に際しても、毛利元次公が援助を行ったと伝えられている。全国の十数箇所の圖書館で閲覧することが可能。

(五)[重訂]古?便覧備考(林文庫690-4)
 全体が四巻四冊で構成されている。「元禄五年版」「元禄十二年版」「享保十一年版」の三種類が知られていて、本書では、「享保十一年版」を採用した。いずれも[重訂]の角書が記載されている。別名が「授時暦考當卦頭書古暦便覽備考」で、「授時暦」に関連した資料であることは疑いを得ない。著者は苗村丈伯(なむら じょうはく)。道益、丈伯、常伯は通称。字は三径。艸田齋、艸田子、苗齋、林庵、三友、介洞、寸木子、径山子などと号した。延宝二(一六七四)年に生まれ、寛延元(一七四八)年十月二十三日に逝去。近江彦根の人。江戸時代中期に活躍した医師で、井伊家に侍医として仕えた。伊藤仁斎に儒学を学び、京都に住居をかまえ、執筆活動に専念した。仮名草子の作者としても知られている。医学書の他に「世話用文章」「女重宝記」「理屈物語」などの、字書、実用書、俗解書などを著した。
 この巻を刊行するにあたっては、構成する資料群は、いずれも東北大学附属圖書館の所蔵で、括弧内には配架番号を記した。刊行にあたってご協力をいただいた諸氏に感謝の意を表する次第である。また、このような「天文学」「数学」「医学」「地質学」「博物学」「本草学」などの分野では、先学の方々の研究も道半ばで悪戦苦闘しているような状況下で、浅学の身でしかない編者にとっては、能力の不十分さを痛感した次第である。今後も、これらの分野に関連する資料の書誌学的な整理と、書かれている内容の全面的な点検を行い、読者諸氏の期待に応えるべく努力する所存である。
      
 
  • 数量:

科学技術古典籍資料シリーズの特色

(l)近世に創作された日本の科學・技術に関係する貴重な古典籍を網羅---貴重な資料が全国各地に散在しているために、日本の科學・技術に関連する第一次資料を網羅することはできなかった。今回はさまざまな資料を捜索・掲載し、日本の科學・技術の歴史全体を俯瞰できる内容とした。

(2)充実した内容と斬新な構成----初學者にも理解できるように、古代から近世末期までを俯瞰できる各分野ごとの科學・技術史年表、基本的な文献の解題目録、完璧な索引を作成し、内容を豊富化した。既存のさまざまな概念にとらわれずに、事実としての日本の科學・技術の歴史を明らかにすることを重視している。古代・中世に、中国より渡来した科學・技術は、江戸時代に独自の発展をとげ、この時代の中期以降に西洋の科學文化に接触し、さらなる歴史を形成した。本集成は、この発展の歴史を辿りながら、現代以降の科學・技術のさらなる発達に寄与できうる内容構成とした。

(3)あらゆる學問分野で活用できる資料集成----この資料のみで、日本の科學・技術史を俯瞰できるのが大きな特色。資料篇、文献解題篇、年表篇、索引篇のいずれからも読むことが可能で、さらなる研究に活用するために便利な資料。日本科學史、日本歴史の研究者のみならず、作家、ジャーナリスト、社会科學・自然科學分野の研究者なども活用できる、体系的な資料集成。
[当初この日本科学技術古典籍資料シリーズは、「日本科學技術古典籍資料集成」として、独自のシリーズで刊行の予定でしたが、古代及び中世の日本独自の文献を所蔵している機関が少なく、また、所蔵していたとしても、複製が困難なために、新たなシリーズとして発行することを断念致しました。さらに、江戸時代に科學技術研究が最盛期を迎えたことと、この時代に発行された資料がほとんどであることを勘案して、「近世歴史資料集成」シリーズに組み入れることにした次第です。深くお佗び致します。]

各巻本体価格 50,000円
揃本体価格 550,000円
[内容構成に若干の変更がある時は、ご了解下さい]

この商品に対するお客様の声

この商品に対するご感想をぜひお寄せください。