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ISBN4-7603-0185-2 C3321 \50000E
江戸後期・諸国産物帳集成・第18巻 [薩摩・琉球]
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50,000円 (税込:55,000円)
第18巻 薩摩・琉球
〈2004/平成16年9月刊行〉
◎田村藍水『琉球産物志』
第十八巻の内容・序に代えて
本巻には「琉球産物志」を納めた。本書は「琉球」とあるが、ほとんどが薩南諸島の産物である。また産物も植物に限られる。今回の底本は東京国立博物館資料館と独立行政法人国立公文書館の両館の蔵書によった。
「琉球産物志」 東京国立博物館資料館所蔵(和・八五六)
独立行政法人国立文書館所蔵(一九七・一六八)
田村藍水著で、原本の成立は一七七○年八月。巻一から巻一五と附録上中下三巻、計一八巻からなる大著である。
一七六八年、鹿児島領主島津重豪は薩南諸島(琉球大嶋、硫礦嶋、土喝喇列嶋、喜界嶋など)の動・植物の調査を企図し、それらの地域から動植物の標本を採集、提出させた。一七七○年までに集められた標本は、植物八四八種、虫(*)類一七五種にのぼったという。この年四月、この内の植物標本は田村藍水に渡され、同定、解説が要請された。藍水は同年八月までに、「琉球産物志」一八巻に纏めた。全種に漢名、琉球土名など、彩色図、漢文の解説が附された。本書でいう「琉球」とは、「琉球大島」すなはち奄美大島のこととされている。
*(虫類の標本は大坂の本草家木村兼葭堂に渡され、同氏に同定などが依頼された。その成果が「薩州虫品」である。本シリーズの第十七巻に所収)
「琉球産物志」各巻の内容は下記の通りである。
巻一 草部 二三種
巻二 草部 四九種
巻三 草部 四八種
巻四 草部 五○種
巻五 草部 五○種
巻六 草部 五四種
巻七 草部 五一種
巻八 穀部 一八種
巻九 菜部 三三種
巻一○ 菜部 三九種
巻一一 ?部 一一種
巻一二 果部 五四種
巻一三 木部 四九種
巻一四 木部 四四種
巻一五 木部 四三種
附録 上 草部 三三種
中 木部 二五種
下 木部 五二種
合計 七二六種
本書の校正者として林懋(一七○九-一七八一)の名が見える。林懋は漢学者で幕府の儒官。本書では動・植物の名称が漢名で、また、解説もすべて漢文で書かれているので、その校閲を仰いだのであろう。
今回の底本として、本文の一五巻は東京国立博物館資料館本(附録三巻を欠く)、また、附録の三巻は独立行政法人国立文書館内閣文庫本によった。紙数の関係で附録三巻は二分の一に縮小して納めた。
貴重な蔵書の復刻刊行をご承認くださった両館に対ししまして、厚くお礼を申し上げます。
二○○四年九月白露